余暇に、卓さんがドライブに連れて行ってくれました。
見せたい場所がある、というのでどこへ行くのかなと思っていると、車はみるみる海の上を走りはじめました。
大きな湾の端から端をまっすぐ結ぶ、西には韓国で言う西海、東には広い湾を望む海上道路。
つまり湾の入り口が道路でふさがれている形になります。
話を聴いていると、なんとふさいだ40000ヘクタールにも及ぶ湾を段々と埋め立てて商業施設やカジノやゴルフ場を作るのだということ。すでに外海と遮断された湾の中では多くの生き物が死に絶えている。
なんという愚かな所業であろうか。
旅はステキな観光地を見るばかりではない。
西海に静もうとしていた夕日は、美しくもさびしげだった。
特に何にもあるわけではない小さなビーチは穏やかで、母の湾という名の通り、なんだかあたたかいものに包まれているような場所でした。
人はなぜカジノやショッピングモールに並んだブランド品や、ゴルフ場がないと楽しめないのか。自分もそんなくだらないものたちを批判しながら、そんなものたちの恩恵を受けている。
全州の町から数時間。
晩御飯のサムギョプサルにたどり着くまでの2つの海を僕は決して忘れないと思います。
■ジョイナス軍団
僕とクロサワと卓さんでギャラリーの裏庭に座ってしゃべっていると、突然けたたましく「アニョハセヨ!」を連呼しながら、同じTシャツを着た変な外国人の集団が入ってきました。
話していると、一緒に写真を撮りたいらしい。
「Hey! Join us! Join us!」と連発するジョイナス軍団の勢いに押されて、僕たちは一緒に写真を撮りました。
聞いてみると何とエジプトから来たらしい皆さん。
写真のお礼にピラミッドとスフィンクスの缶バッジをくれました。
どうやら学生さんのようでしたが、ちょっとだけ展示も見てくれて、ビューティフルと褒めてくれました。
何となくライブへのパワーを貰いました。
■映像楽曲
映像楽曲のパフォーマンスには、初めて歌詞のある歌を差し込んでみました。
言葉のわからない韓国の皆さんにどう伝わるか。
結果、僕たちの映像と音楽は、非常に好評をいただきました。
お世辞かもしれないけれど、パフォーマンスからアーティストトークまで含めて、ほとんどの人が帰らずに残っていたのは珍しい、とギャラリーの方も言ってくださいました。
お客さんからとても高度な質問も出て、クロサワ氏もご満悦であった。
他の人が写真を撮っていたが、貰っていないので載せられないのが残念。
■さらば韓国
滞在中、何人かの人と仲良くなりました。
僕は日本語と、やっとホテルに泊まれる程度の英語ぐらいしか喋れないので、言葉の壁もあったけれど、何やらやっぱり音楽の力はありがたい。
みんなそれぞれ魅力的で、素敵な人たちだった。
またきっと全州のみなさんに会いに行きたいと思います。
今回の展示には、芸術的な交流の他にやはりちょっとだけ人間的な意味も含まれています。
言うまでもなく、隣国である日本と韓国はあんまり仲がよろしくない。
お互いの国の持っている問題を夜な夜な卓さんとも話をしたけれど、そんな僕たちはホントにいい友人同士であります。
来年2月に卓さんは静岡でのアートフェスに展示に来てくれることになりました。
この交流展を途切れることなくお互いの国で続けていけたら、本当に幸せなことだと思いながら、僕は夜の高速道路をソウルまで送ってもらい、韓国を後にしました。
またすぐに行きます!カムサハムニダ~!
映像楽曲の詞を載せてみます。
先日の仙台の子どもたちからもインスピレーションを貰いました。ありがとう。
1
ガラスに映る ビルの光を抜け
さびた空の 涙を受け止め
黒い道は どこまでも続く
旅路 旅路
遥かな 記憶の波に
わけを尋ね 木立は過ぎる
黒い道に 空々しい 花 花 花
花盛り 花盛り
スピードは孤独に揺れる ゆりかご
さびた空は 見たこともない形
黒い道は ミラーの中へ続く
旅路 旅路
2
赤い赤い 赤い炎 おもいでの中の
青い青い 青い空 あの池に映る
わずかな白さが はるかに ポカリと浮かんでいる
涙 涙 とうめいな おもいでの中の
緑 緑 やさしく萌える あの池に映る
わずかな白さは かなたに ポカリと消えていった
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