舞語り公演本番。
ご住職が粛々と般若心教を言上し、その後暗転、暗闇の中から音が始まる。
その静かに弾き始める瞬間といったら最近で一番緊張しました。
本堂左側の障子4枚をはずし、真中の柱を挟んで左が女性、右が男性の空間。境内の庭木の風景を借り、舞台装置にする。
演劇というよりもかなり心象的な雰囲気になり、それが物語の性質とマッチしたように思いました。
公演中、本当に不安でした。
「桜の森の満開の下」の文章をもとに、僕は8割ほどオリジナルの曲を書き下ろし、残りはもともと作ってあったもので合いそうなものをあてましたが、自分の演奏がつたなく、不勉強で、奥野さん、関根さんという役者2人の、饒舌な語りや、伝統的な日本舞踊という事柄を、はげしく邪魔しているのではないだろうか、という気持ちになりました。
ところが終わってみると、大変沢山の方が、自分の反省とは裏腹に「演奏、音楽がよかった。」と褒めてくださいました。
もうひとつ、今回のプロデューサー堀池さんからのリクエストで、僕が学生のころ作って何年も歌っていなかった「あかり」という曲をエンディングに歌ってほしいと熱く頼まれ、それならば、と歌いました。
結果的に、かなり重苦しい物語の男女が最後に、どこか安心できる世界に解き放たれたのではないか、という演出になり、とても評判が良かったようです。
堀池さんの、長い付き合いで、かつての自分の演奏を知ってくれているからこその采配を、とてもうれしく思いました。
素晴らしいスタッフのみなさんが、支えてくれたおかげで、いい公演になったと思います。
東壽院ご住職の、最後のごあいさつがとても素敵で、ほろっと涙がこぼれそうになりました。書いても野暮になりそうなので、来て下さった方のみ共有できる感動、ということで。
今後、シリーズ化したいというプロデューサーの意向ですので、お楽しみに。
皆さま、ありがとうございました。
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