一人暮らしをしていた時、
夜などは何にもすることがなくて、
雑貨屋さんで買ってきたノートを広げて、
その日あったことや、思いついた言葉などを、
書きつけるのが楽しみでした。
その合間に、やたらと雑多な詩集や、
古い文学をよくぱらぱらと読みました。
(BGMはマイルスの「ウォーター・ベイビーズ」が多かった。)
最近どうも言葉が出てこないと思っていたら、
そういえば本を読んでいなかった事に気が付きました。
だからというわけではないけれど、ふと思い立ち、
久しぶりに、前に古本屋で安く買っておいた、
日本文学全集「永井荷風」を読んでいます。
昭和初期の文学の、フィクションではなく、
かといって現実でもない、独特の臨場感が僕は好きです。
時には、ひなびた裏路地に本当にいるような気がし、
時には、街の古い酒場の、はげかけた木戸を、
ガラッと自分が今まさに開けたような気にさせてくれます。
息を吐いたらまた、吸わなくてはいけない。
まるで呼吸をするように、新しい言葉に出会い、
また何やら思った響きを書きつける。
何だか自分が生きてくるような感じがします。
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